アデレード暮らし

2001年から南オーストラリア州のアデレードで暮らし始めた私の記録

オーストラリア縦断2012 アデレードからダーウィンへの旅の始まり

彼はExcelが好きだ。
文書作成だってExcelでしているんじゃないかと思う位、いつもExcelを開いている。
そして彼は計画を立てるのが好きだ。
彼の開くExcelには20年先までの人生設計がすでに入力されている。

初めてそのExcelを見た時、私は
「すごい!」
と思った。思ったけれど、自分も真似してみようとは思わなかった。

20年くらい前、彼に言われたことがある。
「頼むから、10年先とは言わないから、せめて5年先のことを考えて生活してくれない?」
そんなこと、したことないし、出来るとも思わない。だって今の私の最大の悩みは、今晩のおかず何にしよう?ってことだもん。
とは言えなかったけど、返す言葉もなかった。
 
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彼は旅行が好きだ。
彼は旅行をするために生きている。
だから、彼は旅行をするために働いている。
 
計画好きな彼が旅行のプランを練るのは至福の一時らしい。
2年先までの旅行のプランはすでに出来上がっている。
今彼が一番考えているのは3年後にどこに行くか、ということだ。
 
「今度はどこに行こうか?」と彼がたずねる。
でも私は答えられない。
だって、今度っていうのは3年先のことだもの。
来年行く旅行のことだって、今の私にはまだ、まったく実感が湧いていない。
やっぱり今の私の一番の関心事は、今晩のおかず何にしよう、ってことだ。
 
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2012年4月。アデレードからダーウィンに向けて、19泊20日のキャンピングカーでの旅が始まる。

何年も前から彼が計画し、ようやく実行に移す時が来たのだ。彼の中ではすでに旅に対する興奮は冷めている。彼にとって旅はすでに8割方終わっているのだ。あとは計画通りに物事を進めればいいだけの話だ。

初めてのキャンピングカーに、私はとても興奮していた。どんな旅になるんだろう?アウトバックはどんなに暑いんだろう?オーストラリアはどれくらい広いんだろう?私の旅に対する興奮はぐんぐんとエスカレートしていく。今の私には、今晩のおかずを心配する必要がない。明日の夕食だって、あさっての夕食のことだって考えなくていい。だって、これから20日間のメニューは、すでに彼の立てた旅の計画に含まれているから。さあ、なんだか楽しそうな旅が始まる。


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(あ、この話は、我家の旅を小説風にアレンジしたフィクションです。)