アデレード暮らし

2001年から南オーストラリア州のアデレードで暮らし始めた私の記録

⑫うちの子をバイリンガルに!の軌跡 長女8年生(中2)

 8年生になり、高校に入学しました。受験はありません。受験らしいものがあるのは12年生以降の進学先です。入学前の心配はなんのその。あっという間に新しいお友達が出来ました。

 ダイヴァージェントという本が流行り、本を読み、映画へ行きました。ハンガーゲームは映画だけ見に行きました。The Fault in the Starsという本も映画化され、まず映画を見てから本を読みました。

 彼女の読む本はどれもこれも表紙が黒くて暗いものばかり。内容も暗くて悲しくて、人が死んで、殺しあって、なんじゃこりゃぁ・・・・という、とにかく暗~い本ばかり。なんでこんなに暗くて寂しくて悲しい残酷な話ばかり流行るのかしら? もっと明るくハッピーな物語を読もうよ、といっても、そういう本がないとか、みんなが読んでいないとかで聞いてくれません。

 もともと本が好きな子で、かなり英語の語彙数が増えましたが、上には上がいる、友達は難しい表現を沢山知っている、と彼女なりに劣等感を感じた年でもありました。それでも、前期も後期も成績優秀賞を貰えたので、彼女なりに頑張ったのだと思います。

 英語については、私が教えたり口をだしたりすることはありません。すべて現地校の先生にお任せです。

 学校で様々な形式の文章を書かされ鍛えられたおかげで、年の終わりには、南オーストラリア州のYoung Writer’s Competitionの短編部門で最終選考まで残りました。

 年の終わりに詩も書きましたが、これまたとても暗い詩で、読んで聞かせてもらった時の私の第一声は、「マジ暗いっす・・・。大丈夫?何か悩んでる?」でした。
「なんでかわからないけど、暗い文章だったらいくらでも書けるんだよね。楽しい文章は良い表現が全然浮かんでこない。」
「それってさあ、普段読んでる本の影響だよ。暗い本読み過ぎだよ~~(笑)」
「かもしれない(笑)」

 友達からの反応も同じようなもので、「大丈夫?悩み事があったらいいなよ~」と何人からも言われたと笑っていました。先生から是非コンクールに応募してくださいと言われて応募しました。残念ながら何も連絡が来なかったのですが、いい経験となりました。そんなわけで、英語に関しては8年生のネイティブ並なんだと思います。

 日本語は中学二年生レベルなのですが、漢字の難しさにやる気を失いつつありました。漢字の練習を疎かにしたまま漢字テストを受けるので、当然点数が取れません。いい点が取れないとますますやる気を失い、さらに点数が下がります。これは負のスパイラルだ、と思ったので、彼女が先生役になって私に漢字の問題を出すことをさせました。彼女が単語を読み上げ、私がその横で書く。そして合っているかどうか彼女が確認する。私が書けないときは、彼女が私にヒントを出す。いやはや、中学2年生の漢字は難しく、毎回満点を取るのは難しいですね。私に漢字の問題を出すのが楽しくなったのか、そのうち彼女の方から、おかあさん、漢字の練習やろう、と言ってくるようになり、漢字テストの成績も良くなりました。

 日本語を書く力も、彼女の書いた作文を読むと、どこがおかしいのかよく分からないけれど、どこか変、なんか変、と思ってしまう状況になっていました。なんというか、うーん、やっぱり表現方法や全体の構成が英語的なんだろうな。日本人はこういう表現はしないよ、うーん、これ英語に訳したらとってもしっくりくるわ、と何度も思いました。

 スポーツは、水泳が終了したので陸上(短距離)に変更しました。週2回の練習と週末の記録会、それからいくつかの大会にも出場しました。これまで小学校では負け知らずで州大会なども挑戦していましたが、州代表になる実力はないということがわかって、勉強同様、上には上がいる、ということをスポーツでも思い知らされた年でした。

 勉強にしても陸上にしても、少々天狗になっていたところがあったので、伸びつつあった鼻をへし折られ、凹んでいました。勉強に対しても陸上に対しても後ろ向きな態度を取った時期がありましたが、時間の経過とともに自分の実力を受け入れることが出来たようで、人生それほど甘くはない、といい勉強になったと思います。

 一年の終わりに本人が書いた詩が、あまりにも暗い内容なので、いやあ、この子大丈夫かしらん?この詩はこの子の心の声?と心配になったのも事実ですが、普段読んでいる本の影響を多大に受けているのもこれまた事実だと思ったので、しばらく様子を見てみようと思った年でもありました。

 将来オーストラリアの大学に進学する予定なので、日本語補習校よりも現地校の勉強を優先せざるを得なくなってきたというのが正直なところです。ああ、バイリンガル子育てもここまでか・・・?