アデレード暮らし

2001年から南オーストラリア州のアデレードで暮らし始めた私の記録

バヌアツ旅行 9 - カラフル ファンタ

趣向を変えて物語風に

☆☆☆
 
未知の国、バヌアツの旅行中にナツが楽しんだのは、変な色のファンタを飲むことだった。まず最初に彼女がポートビラのフランス系高級スーパーマーケットで出会ったのが、この美しく青い、ファンタ ブルーベリーだった。
 
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ずらりと並んだソフトドリンクの缶の中でも一際目立っていたのがこの青色の缶で、青色好きのナツの目に飛び込んできた。「こんな単調な光沢のない水色って見たことないな、しかもブルーベリーなんて初めて。」と思わず買ってしまったのだ。
 
どうせ中身は透明で、ブルーベリーの香りがするくらいだろうな、というナツの予想は見事に外れた。念のため色を確認しようとグラスに注いだ瞬間、ナツの手が凍りついた。中身まで目の覚めるようなブルー。ナツは たまげた。そして思った。 「これって、ブルーハワイじゃん?」
 
「ああ、なぜこれがブルーベリーなの?ブルーベリーってどちらかと言うと・・・紫じゃなくて?・・・?」 この色を見て彼女の頭の中に浮かぶのは、どうしても、近所のお祭りでよくみかける、カキ氷・ブルーハワイであった。しかし冷静に考えれば、わかるはずである。紫であるはずがない。紫色のファンタは、ファンタ グレープに決まっている。
 
ぶるぅ はわい。
 
いやいや、そうじゃなくて、
 
これは、ファンタ ブルーベリー。何回見ても缶にはそう書いてある。
「きっと日本ではブルーハワイ味で売っているに違いない。」ナツはしつこくそう思った。
 
そして、ナツの中では葛藤が始まった。
「どうしよう。すごい着色料だよなあ?これは飲んでも大丈夫なの?いや、売っているんだから、大丈夫に違いない。でもオーストラリアではみたことありません。・・・・・・・・・・・・。」
 
なんだか、味も容易に想像できる。絶対にカキ氷ブルーハワイの味に決まっている。
でも、ナツは思った。
「私、この色好きです。」
 
そして、飲んだ。

「うん。間違いない。これはブルーハワイだ。」
 
子供が飲んだら、砂糖沢山、着色料沢山でスーパーハイになること間違いなし。ナツは心の中でそう思った。
 
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次にナツのもとにやってきたのは赤だった。赤というより、ピンクというのか。それはストロベリーという名前を持っていた。その缶にはファンタという文字はなく、F&Nと書いてあった。
「F&Nってなんだろう?ファンタと違うの?」
 
どちらにしても、それは、ブルーベリーの時と同じように、単調で光沢のない赤ピンクをした缶だった。
「この缶の色から想像するに、中身は赤だな。」
 
残念ながら、グラスに注ぐことが出来なかったが、色は想像したとおりだった。カキ氷のストロベリー味である。
 
前回のブルーハワイに続き、今回はストロベリー。カキ氷のシロップをスプライトで割っただけなんじゃなかろうか。バヌアツに来て日本のカキ氷味が楽しめるなんて誰が想像しただろうか。
 
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青、赤(ピンク)と来たら、もう次を試す以外選択肢はない。そうナツは自分に言い聞かせ、4日ぶりにサント島からエファテ島に戻ってくると、スーパーマーケットへ直行し、気になる色の缶を選んだのだった。
 
まずは緑。これは先の2つよりも難題であった。まず、絵がおかしい。オレンジにパイナップルにバナナだ。なんじゃこれは?緑色で思いつくのは・・・ライム?いやいや、メロン。メロンである。カキ氷の緑色のシロップはメロン味と決まっている。その法則からいくと、このジュースはメロン味でなければならない。それなのに、メロンの絵ではく、オレンジ・パイナップル・バナナの絵が描いてあるではないか。グラスに注いでみた。とても美しい人工的なエメラルド色をしていた。う~ん。ナツは うなった。飲み終えた後でも、どうしても納得のいかない味であった。メロンと書いてあったら大いに満足したに違いないであろう味であった。
 
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そして最後は、ファンタの王様、グレ~プの登場だ。
ファンタといえば?
オレンジ?
 
いやいや、ファンタ といえば、ナツの中ではグレープである。
ファンタ グレープ。少々ブドウの絵が大きすぎる感もするが、これはナツの知っている、あの、ファンタ グレープの味に違いない。
 
グラスに注いでまず納得。うん。この色。正真正銘のファンタ グレープである。
 
そして飲んでみて・・・
 
正直、前回ファンタ グレープを飲んだのがいつだったのか記憶になく、なんとも中途半端な感想になってしまった。「きっとこんな味だったに違いない。」
 
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こうして、ナツのファンタの旅は終了した。オーストラリアではなかなか出会えない色をしたファンタ達が、バヌアツ旅行記をカラフルに彩ってくれたことにナツは心から感謝した。